橘家円蔵師匠の訃報。x±x&七面堂

2015年10月7日、8代目橘家円蔵師匠がお亡くなりになりました。+±+
満81歳没。心室細動による死去でした。

8代目橘家円蔵師匠は、本名が大山武雄さん。前座は橘家竹蔵、二つ目では橘家舛蔵と名前を変えました。
真打に昇進した月の家圓鏡(月の家円鏡=つきのやえんきょう)の頃から人気者で、初代林家三平師匠が「ヨシコさん」といえば、円鏡師匠は「セツコさん」を押し出していました。
「ヨイショ!」というのが口癖、「お笑い頭の体操」のレギュラーとして活躍、またCMでも「メガネ曇っちゃった」ってのもありましたね。
「眼鏡スッキリ曇りなし、料理すっかり食う物なし」かよ!(゚Д゚)ノx±x
あと家電のCMで、「もう、暑くて暑くてクーラクラです」ってのも。^±^;

あとラジオでも活躍してましたね。
「ハッピーカムカム」ってのもやってました。^±^;

得意の演目は、「火焔太鼓」、「穴どろ」、「うなぎの太鼓」、「らくだ」、「寝床」、「死神」、「道具屋」、「湯屋番」、「反対車」、「猫と金魚」、「船徳」など。

また、独自のものでは、「七面堂」。
これは円蔵師匠以外、聴いたことがありませんね。^±^;

では、せっかくですから、その「七面堂」の一席を・・・。

~~~~~~~~~~~~

本所の七面堂に入った泥棒さん。木魚を盗むと、身体が固まって動けなくなります。
そこでみんなが担いで七面堂に連れて行き、拝むとたちまち治ります。
「ナンミョウホウレンゲキョウ、ナムアミダブナムアミダブ・・・」新人は自由ですからいろいろです。
中には何も言わないかったりして・・・、それは何だといったらPL学園だったりして。
それからが大変です。
泥棒が直った話がたちまち世間に伝わり、七面様が治したんだ、と、ご利益にあやかり、参詣人が増えます。
そして寺は儲かっていきます。
そうなると、お賽銭もたまり、お水堂を寄付しましょう、本堂を寄付しましょう、と。
一介の寺男も、いきなり出世して、住職。
そうなれば、おかみさんももらいます。また、お妾さん(おめかけさん)もできたりして。
ねだられちゃったりして。
縁日もできて、何百、何千人、何万人と参詣人。
啖呵売(たんかばい)も来るようになって、ドンドンと賑やかになります。
「諸君に集まってもらったのはほかでもない、この線まで入れ、この線まで・・・。
前の人はしゃがんで・・・。あ、お姉ちゃん、しゃがむんじゃない、パンツが見える・・・。
さてお立会い、私がこの客を見ているうちに、この中にスリが2人いる・・・。
そら、言わんこっちゃない、今逃げ出そうとしてるのがスリだよ」
光陰矢のごとし、月日が経つのは早く、十年後・・・。
寺男が住職になって、千両箱を枕に寝るようになった頃、押し込み強盗が入ります。
「銭を出せ!」
住職は、
「これこれ、待ちなさい、その刃物を下げて、幾ら必要なんだ」
「千両出せ!」
「たわけたことを申すな、十両盗んだら首が飛ぶ、百両で手を打たないか」
と、よく見ると、十年前に七面倒に入った泥棒。
「お前は、身体が動けなくなったとき、皆が寄って助けたじゃないか。それなのにまた盗みに来るとは・・・。
お前のようなもののことを恩を仇(あだ)で返すというのだ、びた一文やらないぞ」
「黙れ黙れ、それはあの時、俺が一芝居売ったのさ。貧乏寺が、今ではこんなに大きくなったのを読んでたのだ」
「たいした泥棒だ、気の長い泥棒だ、たしかに、あのときにお前さんが泥棒に入らなかったら貧乏なままだった・・・。では五百両出そう」
「いや、千両だ」
「五百両に負けてくれ」
「千両だ」
と言い争ってるうちに、そこにいた寺男、
「まあまあ、お二人さんとも、そんな、七面倒(しちめんどう=七面堂)な話・・・」

いえね、これがサゲなんですがね。^±^;

それじゃ納得しないお客様には、もうひとつサゲがありまして。^±^;
まあ、サゲを二つ言うのは邪道なんですがね。^±^;

「たいした泥棒だ、気の長い泥棒だ、たしかに、あのときにお前さんが泥棒に入らなかったら貧乏なままだった・・・。では五百両出そう」
「いや、千両だ」
「五百両に負けてくれ」
「千両だ」
「わかった、千両出そう」
泥棒さん、よっこらしょ、と担ぐと、その重みで、
「あ、いけねえ、体が動かなくなっちゃった・・・」
すると、住職、
「この野郎。また十年後に二千両を盗もうとしたって、そうはいかねえ・・・」

好きなほうのサゲを持ってってくださいやし。^±^ノ

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高座では、調子よく「トントントントーン」(円蔵師匠ご自身も、この言葉をよく口にしてた)と、「立て板に水」のような、小気味のいい噺を得意としてましたがね。

とにかく人を笑わせるのに命を懸けてましたね。
本題も面白いけど、マクラといいましょうか、そのアドリブがものすごく巧みでした。
「反対車」の高座で、「うけさせるためには手段を選ばず!」なんて言っては江戸口調で落語を演じていました。
また、お金に縁のある落語を好んで演じていた気もします。^±^;
そのとき、必ずといっていいほど、奥さんを引き合いに出します。^±^;
たとえば、「死神」、「火焔太鼓」、「湯屋番」など、奥さんが出てくる落語を演ずるところでのマクラでは、「女房ってどうしてお金がないとああやって文句を言うのかねえ・・・」などと愚痴ったりして。
また、新しい落語を開拓するのも好きで、「寝床というお題目で、寝床から鰍沢、鰍沢から弥次郎、弥次郎から子別れと・・・」、ひとつの落語で二十席以上も演じたことがあります。
それとほかの落語家の隠し話をするのも得意でした。

「お腹の皮が背中の皮とくっついちゃってるよ、♪チンチン、次は須田町(昔の都電)・・・なんていってるよ」(火焔太鼓などいくつかの落語でも)

そうそう、火焔太鼓では古典落語に新作の落語を入れてました。
「だから新聞でたたかれた・・・」(火焔太鼓)

彼の父も面白い人らしく、「子供は風の子だい、表へ行って遊んでろ、勉強なんてするんじゃない、って、宿題をやらずに学校へ行くと廊下に立ってろ、と立たされるんですよね。それで50メートルぐらい先を見ると、姉ちゃんも立たされてるんですよね。お互いにっこりと手を振ったりして・・・」(穴どろ)

「あたしゃね、あんまり長いことしゃべると同じことを二度言うことがありますからね。聞いたら聞いたって言ってくださいね。円蔵聞いたぞ、とおっしゃってください、我慢しろといいますから。誰が妥協なんてするもんですか」(穴どろなどいくつかの落語で)

「『実は、うちのオタフクが若旦那のこと言うんですよ』。『え、何? お前んとこのオタフクが、俺の悪口言うの? 別れちゃえ、別れちゃえ、俺が手続きとってやるから』」(湯屋番)

「『居候、足袋の先から、爪を切り』、なんてね。これはあたしでも経験があるんですよ。お客さんは経験ないかもしれませんが・・・。足袋ってのは、一番先に傷むのは親指の爪の先なんですよね。だから足袋を脱がなくても爪を切れちゃうんですよね」(船徳)

「空き巣が入りました。大きな荷物を持って、逃げようかなと思ったらそこのうちの人が帰ってきて、いけないっ、裏は行き止まり、しょうがない、台所の縁の下に入ってると、そこの奥さん、『荒らされてるわね、猫かしら・・・』。そこで、泥棒は猫になるしかない・・・。『ニャーオ、ニャーオ』と鳴くと、『猫じゃないよ、犬だよ』とご主人。泥棒、『ワワワワワーン』、『いや、犬じゃないわよ、私、ワニだと思うの』というと泥棒先生、縁の下から顔を出して、『あのー、お尋ねしますが、ワニはどうやって鳴けば・・・?』、『泥棒だ!』、窮鼠返して猫を食む(はむ)、ニワトリも追い詰められて五尺飛び、てなわけで、蹴破って裏へ行くと、裏は池。水練に心得のある泥棒さん、池の真ん中まで行くと杭があって、暗闇の中、それにつかまってる・・・。家の人、『あんなところに休んでるよ、畜生、杭だか泥棒だかわかんないよ、この竿で突いてやろう、杭か、泥棒か、杭か、泥棒か』、って突く(つつく)ってぇと、杭につかまってる泥棒が、『クイッ、クイッ』と・・・。うけるうけないは別として、あたしゃ、この噺は好きなんですがね」(七面堂・穴どろ・反対車など)

「『あたしの車、古いって勲章もらってるんだから、座っちゃダメ、座っちゃダメ。そこスプリングがあってお尻をパクッと噛みますよ、スプリングイズカム」なんてね・・・』、『この野郎、三平クラスのしゃれを言いやがって・・・」(反対車)

「どいたどいたどいた、あ、いけない、ほら、芸者を池に落っことしちゃった。泳ぎの達者な芸者だな、池の真ん中に泳いで行っちゃったよ、ちょっと、竿持っておいで。『杭か、芸者か、杭か、っていうと芸者が、ゲイシャ、ゲイシャ』と、そんなこと言うわけないだろ、ははーん、さっきの小話がここに結びつく、当たり前だろ、無駄にしゃべるわけない、おい、芸者上げてやれ、というと、車屋、『冗談じゃない、芸者上げられるくらいなら、車屋なんかしてないや』(オチ)」・・・。(反対車、オチ)

そうそう、1円を拾っちゃダメ、って言ったのも師匠。
拾うのは5円までだとか。^±^;
しゃがんで立ち上がると、3円のエネルギーがかかるんだって。^±^;

・・・それはさておき。
彼の落語を聞けなくなると、とても残念ですわ。x±x

8代目橘家円蔵師匠のご冥福をお祈り申し上げます。v±v
 
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お家寄席96・湯屋番

皆様、久々でございやす。
落語を新たにリニューアルいたしました。
今日はどんなお噺だ出ることやら、お楽しみを。^±^

さて、今日は「湯屋番」の一席です。
棟梁の家に厄介の若旦那、ひょんなことから湯屋番に就職しやすが、どうなりますことやら。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

いや、お久しぶりでございやす。^±^ノ

ちょいと、網走の方へ、寒い思いをしておりやして。
なんちゅうか、ある寄席で、お客さんを一人、笑い死にをさせちまいやしてね。
お縄で御用なんざ、こちとらまっぴらなもんで、その後、身を隠して身内に居候なんぞを決め込んだんですがね、居候、あれは嫌ですな。肩身が狭い思いで、十戒の身とも言われますな。「二階に厄介(二戒に八戒)」ってことで。
でも、居候自身も気が利かないのも多いんですな。

居候、角な座敷を丸く掃き・・・

こんな川柳もありますからな。でもこんなのもまだ可愛げがあるほうでして、

居候、足袋の上から爪を切り・・・

これは居候で何もかも面倒くさくなっちまって、足袋から足の指が出てても気にしねえ、っていうものぐさな一面を歌にしたやつですが。
いずれにせよ、ろくな言い回しをされないのが居候でして・・・。

「ちょいとお前さん、どうするんだよ、二階のどんつく」
おかみさんが棟梁に今日も愚痴りますな。

「なんだってんだよ」
「二階のあの居候、何もしないじゃないのさ」
「ああ、あいつねぇ。こればかりはしょうがないんだよ。追い出すわけにゃいかんのさ。うちのお得意先の御曹司なんで、何かあると出入り禁止になっちまいそうだからなあ・・・。仕事の手間賃の一部と思って、我慢してくれや」
「だけどねぇ、お前さん。あの若旦那、居候の身のくせに威張ってんだよ。この前だってそうさ。せめてお使いに行ってくださいなって頼んだって動かないんだよ」
「そりゃ、お使いはお前さんがやればいいさ」
「だけど、ご飯だけは人一倍食べるんだよ。こっちゃあ、若旦那に気を使ってるからさ、何もいえないけど、一人多く養えるほどのお足がないってお前さんだってわかってるじゃないよ。お前さん、何とか若旦那を働かせておくれよ」
「そうだな、何もしない若旦那も若旦那だな。よし、わしの友達の柳湯で奉公人を欲しいって言ってたし、若旦那に話をしてみるか」

若旦那はその話を聞きやして、開口一番、
「女湯ありますかね?」

「もちろんありますよ。女湯のない銭湯なんてどこにありますか! 馬鹿なことを言っちゃいけねえ」
棟梁が言うや否や、若旦那、
「行く行く、行っちゃうよ! すぐに紹介状を書いてくれませんかね」

早速若旦那は紹介状を持って柳湯へ。
柳湯のご主人、それを見て、
「ふむふむ・・・。わかりました。しかし若旦那の御身で勤まりますかね。やる気は認めますが・・・。まあ最初は外回りからやっていただきやしょう」

若旦那、すかさず、
「え? 外回りですかぃ? そんな色気のないことを・・・。それより湯屋番をやらせてください」

「湯屋番は難しいよ。そう簡単じゃないんだけど・・・。じゃ、こうしましょう。試しに、とりあえず、私が食事をしてる間、湯屋番をやっていただくことにしましょう」
「か、か、かしこまりました。ゆっくり食事行ってくださいな。なんなら、帰ってこなくてもいいですから~」

若旦那、そそくさと番台には上がりましたが、客は男湯ばかり。
とどのつまり、汚いケツばかりですがね。^±^;
「あー。男湯はいっぱいだねぇ。汚ねえケツばかりだねえ。一番向こうの洗い台にいるやつなんざ、ケツにコオロギを買ってるような毛むくじゃらだねえ・・・。あーあ、色気ないなあ。それに比べて女湯のがらんとしたこと、一人も客ないないなんて。ま、そのうちあっしがここ、全部女湯にしちまおうってね・・・」

若旦那の妄想が早速番台で始まりやして。
「ま、そのうちにあっしが番台に上がってる噂が風に乗って、きれいな女がやってくるね。年齢(とし)はってえと、二十シッパチ(27~28歳)、せいぜい、三十路(みそじ)そこそこってとこだね。酸いも辛いも知り尽くした年ってとこね。
生娘(きむすめ)はいけねえな。別れるときにゃ、好いたはれたであとあとうるさいんだ。かといって乳母なんて色気がないね。ここはお妾さんの登場だね。で、女はそ知らぬふりをしてお付きの女中に、『今度の番頭さん、素敵ね』なんてことを言うんだよな。くう~。たまんねえな」

そんな若旦那の盛り上がる一方で、洗い場では、
「・・・おい、熊さん。あの番台を見ろ。今日は変なやつが上がってるね。ひとりでパーパーパーパー、なんか言ってるよ」
「なんだか面白そうだなあ、八っつあん」

こちらはまた若旦那。
「・・・そのあと、数日後、あっしが偶然、お妾さんのお宅の前を通るね。さりげなくね。そこに女中の撒いた水がかかっちまう・・・。そこに例のお妾さんがご登場だ。
『まあまあ、この間の番頭さんですね』・・・。
『番頭さんってよく覚えてらっしゃるんですね』なんてあっしがいうと、
『好きだから覚えてるんですよ』なんて直接的に言われちゃったりして・・・。
『で、今日はお風呂屋さんは?』
『風呂釜が壊れて休みなんですよ』・・・うーん色気ないな。ここはひとつ、『墓参帰りの道すがら、偶然通りかか裡まして』ってことに。
お妾さん、ここで言うね。
『まあ、お若いのに感心なこと、とにかくお詫びもしなくちゃいけないし、お上がんなさいな』
『いえいえ、お気になさらず。偶然通りかかっただけですから・・・』
お妾さん、ここで別れたくないから必死にあっしの袖を取って、
『そんな水臭いじゃありませんか・・・お上がんなさいな~』」

「・・・おい、熊さん」
「何だ?」
「あの番台、見てみろよ。てめえでてめえの袖を引っ張って、お上がんなさいとか言ってるぜ」
「気がふれたのかねえ、変な野郎だぜ」

「・・・無理に引っ張ってあっしは縁側から座敷に入るね。で、酒肴のお膳がしつらえられる・・・。
『今回はお水をかけたお詫びの印ですよ、一杯どうですか?』
『いえいえ、そんなつもりではありませんので、今日はこれで・・・』
帰ろうとすると、お妾さんがドキッとすることを言うね。
『あら、せっかく酒肴をしつらったというのに・・・。そんなに私のことがお嫌い?』
ちょいと眼を赤くして・・・。もてる男は困るね。あっしだって、そんなことはないと言うしかないね。こっちも好きだなんて野暮なことは言わねえけど。改めて、酒をやったりとったりするんだけど、女中も気を利かせて盃は一つだけ持ってきて、盃洗い(さかずきあらい)をおいとくんだよ。で、酒をたしなんだら盃洗いでゆすいでご返杯。またお妾さんが酒をおちょぼ口で飲んでゆすいでご返杯。ご返杯、ご返杯とやってくうちに、お妾さん、すごいことを言うよ。
『ああら、いまのお盃、ゆすいでなかったのよ、あなた、ご承知でしょ?・・・なんて、弱ったなあ~。ああ、弱った、弱った』」

「あの野郎、今度は番台で弱ってるぞ」
「一人で、何考えてるんだろうな、なんだか面白いから見てようじゃねえか」

「・・・あっしも遅くなるといけないからって、さて、それで帰ろうとすると、突然、やらずの雨。それがなかなかやまないんだな。そのうちに遠くからゴロゴロゴロ、ゴロゴロゴロ・・・。
『イヤ、怖いわ』
お妾さんはあっしに抱きついてくるね。あっしゃ、
『大丈夫ですよ、まだ遠いんだから』
って言ってるうちにゴロゴロゴロドスン!近くに落ちるね。いきなり落雷だよ!」

「ああ、今度は番台からおっこっちゃったよ。おい、お前さんは顔が血だらけじゃねえか」
「ああ、こっちゃ、気をとられて軽石で顔をこすっちまったよ」


そんなこんなをしているうちに、お客が若旦那をポカリ!(゚Д゚)ノx±x
「おい、どうしてくれるんだ。俺の下駄がないぞ!」
若旦那、それを聞いて、
「それじゃ、このいい下駄を履いて行けばいいよ」
「そのあとの客はどうするんだい?」
「一番最後の客は、裸足で帰します」


その裸足で帰ったのが、あっし、粗忽亭長兵衛だったってオチで・・・。
おあとがよろしいようで。m<●>m!

テーマ : こんなお話
ジャンル : ブログ

牧伸二さん訃報

ああ、やんなちゃった・・・。^±^;

牧伸二さんが2013年4月29日にお亡くなりになられました。
78歳、多摩川の丸子橋の欄干に手をかけての入水自殺というのですが。
前日の28日午後1時半に上野広小路亭で舞台に出演し、その後午後4時10分から浅草東洋館でも舞台に出演する予定だったらしいのですが、「少しお茶を飲んでくる」と言って席を立ってから、午後3時頃に喫茶店を出た後行方不明になっていたといいます。

好きな芸人さんだけに残念です。
ウクレレ片手に「やんなっちゃった節」。
そのシメのネタでは・・・。

♪あ~あ、やんなっちゃった、あ~あ、驚いた、
真珠の指輪はとってもきれい、もっときれいなマキシンジュ、
だけどあいつの頭の中は、真珠どころかパールだよ・・・φ^±^ノ

で、ここで拍手をすると、
「ここは手をたたくところじゃないよ~」
って言って終わるのが決まりでしたよね。

うちがいちばん好きなネタは、
♪いちにさんしにーにっさんし、さんにんさんし、ジャズダンス、
いまさら遅いよオバタリアン、三段腹が右左(みぎひだり)・・・φ^±^ノ
・・・ってやつですがね。^±^
それを聴いて笑ったお前も「三段腹が右左」だろうが!(゚Д゚)ノx±x

このねたも好きですがね。^±^;
♪男女混浴温泉旅行、お風呂の中はおばあさんばかり、
湯船に浮かんだ干しブドウ、それ見てキノコがしぼんでる・・・φ^±^ノ

牧伸二さんといえば、「幽霊城のドボチョン一家」の声にも出てましたっけ。
♪ドボチョ~~ン、チッチ~・・・φ^±^ノ
フランケン役ですね。がたいはいいが、動きは鈍いキャラクターでおなじみの。
電気でしびれて骨が見える、でおなじみの。^±^;…昔の漫画のパターンだよなあ
その他、ドラキュラは南利明さん、ミイラ男は広川太一郎さん、人喰いライオンは由利徹さんでした。

「三笑亭笑三のRAKUGO人生」(1988年2月版)には、落語家・三笑亭笑三(さんしょうていしょうざ)師匠が、牧伸二さんの人となりを、以下の通りかかれていました。当時のまま、抜粋です。
抜粋します。^±^…実はうちはこの出版社にいたのでした

・・・

"低能"どころか、伸二さん

『ウクレレ漫談の牧伸二君が「あ~、やんなっちゃった」でデビューしてから三十年、浮沈の多い芸能界で三十年生き抜いて来ただけでも、ものすごい。
その一つの区切りとして、これからも先も頑張ってもらう意味で、みんなで賑かに祝ってやろうじゃ有りませんか。是非おいでをお待ちして居ります。
 昭和六十二年八月 発起人一同』
という招待状が、ごく最近届きました。
芝パークホテルで十月十六日の午後六時から・・・。その発起人の連名が物凄い!!
つき合いの広さと人柄がよくわかる。一応、ご参考までに目を通して下さい。
泉ピン子・内海桂子・好江・ガッツ石松・コロムビアトップ・財津一郎・堺すすむ・桜井長一郎・獅子てんや・橘家円蔵・富永一朗・坂上二郎・藤村俊二・前田勝之助・松平直樹・二所ノ関正裕・・・と各界のトップクラスの名がズラリと揃う。その交友関係が一目瞭然です。
ラジオやテレビで行動を共にしていたころとちがって、私とはマーケットがちがうのでここ十年位は没交渉で、お互いに間接的にしか消息を聞きません。
この牧伸二がんばっちゃって・・・の会が盛会裡にお開きになることを願っています。
テレビの叩き売りで大活躍をしてから、ここ数年はじっくり話術精進に羅針盤を変えて頑張っているようです。師である牧野周一先生が楽器に頼らない漫談、つまり原点に戻ってといわれたそうだが、円熟された芸に磨きがかかれば幸いです。
決して、遅れる(ウクレレ)ことはありません。
急がば廻れで、過去にとらわれないで奮起されることが活路だという気がします。
まだまだ、私よりは十年も若く、これから十年たっても、現在の私と同じ年なのだからうらやましい限りです。

●25年前のプロフィール

フランク永井は、低音の魅力。水原弘も、低音の魅力。
村田英雄も、低音の魅力。万段の牧伸二、低能の魅力。ああ・・・
「ああ、やんなっちゃった、ああ、おどろいた」で新のんき節よろしく稼ぎまくって、廻りにいる連中がやんなっちゃったり、おどろいたりさせている牧伸二さんは、漫談の牧野周一のたった一人の弟子で、実に低能どころではなく頭のいい現代青年である。
見たところやくざの三下か、チンピラのような感じだが、当人は至って気は優しくて力無し。
東京放送の"素人寄席"に出て鐘を三つ鳴らしたのが病みつきでこの道に入り、ただ喋っていたのでは他人と変わったところがないからと、ウクレレを持って歌いはじめたのがキッカケで、今日になった。

・・・

牧伸二さんのご冥福をお祈りいたします。v±v

テーマ : 今日のつぶやき
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臨時・立川談志さん訃報

立川談志さんがお亡くなりになりましたね。x±x

2011年11月21日、咽頭癌のため。享年75歳。

また落語界に大きな風穴が開いたようです。
師匠は、いいも悪いも、落語の世界からやってきた「申し子」と言っても過言ではなかったでしょう。
師匠の持ちネタは広かったですし、時には落語の世界で憑依されたような迫力もありました。

「三笑亭笑三のRAKUGO人生」(1988年2月版)には、落語家・三笑亭笑三(さんしょうていしょうざ)師匠が、立川談志師匠の人となりを、以下の通りかかれていました。
抜粋します。^±^…実はうちはこの出版社にいたのでした

・・・

「毒にも薬にもなる」談志さん

前参議院議員・政務次官「松岡克由」、タレント議員の面目躍如として大活躍!! だった。私にいわせれば、ツキにツイている(月世界のロケット)落語家です。
もちろん、頭の切れる男(大阪で負傷をしたこともある)として、今なお東奔西走の毎日。
立川談志とかけて、古池や蛙飛び込むと解く。その心は波紋(破門)になる…。柳家小さん師匠の弟子としてとにかく話題の多い人だと思います。しかし、そのバイタリティとファイトには敬服。すべてにチャレンジ精神旺盛で、東宝名人芸に看板を並べて出ていたあのときのことが忘れられません。
十年ほど前、「三菱銀行襲撃事件」で、暴漢がライフル銃を手に、全行員を人質に立て籠もった進行形の翌日である。楽屋入りの私が、寄席後部のドアを開けて中をのぞくと、高座に銃を持って立つ黒眼鏡の男。シーンと静まりかえった寄席。ただ一人その男のわめく声のみが響き渡る雰囲気は、まさに昨日の事件の再現でした。
銃だと思ったのは太鼓のバチで、紋付でなくブレザーのままの談志師匠。観客を銀行員に見立て、威嚇する言葉をポンポンと発射する。ビックリしたような観客の目が、時々、まぜっ返した冗句の弾が打ち込まれると、ドーッドーッと笑いの渦になるのです。
選挙になると、ヘリコプターで全国を駆け巡り、日本銀行発行の絵はがきの束が、ゴールドフィンガーよろしく握られます。
びっちりと埋められた人生を送り、送って、送りつつあるスーパーマンです。
客も賛否両論で、きらいな落語家NO1でもあり、好きな落語家NO1でもあります。
「沈香も焚かず屁もひらず」よりは、毒にも薬にもなる男の方がいい。
すべての物事を歯に衣を着せずハッキリという、それが小さん師匠の逆鱗にふれたらしい…。男らしい男のいなくなった今日、あのメリハリがすばらしいとは思いませんか。
ついこの間、息巻いて私に語りかけて来ました。
「この間大阪の漫才が、あにさんのネタを喋っていた。あれはクレームをつけたほうがいいョ」
「どうもありがとう。良いから、面白いから使うんだろう、こっちはまた、新しいネタを考えるから…」
と応えたら返答不満足、国会での質問に大臣の答弁のような顔付きでした。
しかし、ただ、近頃出版した「楽屋噺」なる著書で、私が赤線地帯へ定期券を買って通勤をしたという文面にだけは、訂正を申し入れたい――。
あれは、あの時分、都電という乗物は何回も乗り換えて、一番遠隔の停留所へ行っても細長い切符をくれて同額だったのです。
同じく定期券も、東京の隅から隅まで乗っても、一停留所・一区間でも同一料金だったのをご存知ありませんか。住んでいた早稲田から、上野・人形町・浅草を経由(全寄席)、タマにはタマが通った「鳩の町」のある向島の停留所まで、購入したわけです。
前座時代で収入もないし、せめてもの生活の知恵。これを亡くなった隠居の馬の助さんに、
「この定期券はスゴイね。こんな遠くまでどうして買ったの?」
と聞かれたのに、洒落で、
「鳩の町へポッポッポとハートは燃えて…」
とやったのが、誤り伝えられたらしいのです。念為。

●25年前のプロフィール

現代のプレイボーイと自他共に許している男性。昭和十一年元旦生まれのおめでたい出生。二十七年に柳家小さんの弟子になり、「小よし」で前座をつとめ、二ツ目に昇進して「小えん」、一昨年真打で立川談志になった。
得意は古典だが、新作でマイペースの漫談をやらせると、他の追従を許さない。手八丁、口八丁、筆も立てばアレも立つ。友人には落語界より映画界に多いというのも、テレビタレントのほうに比重がかかってきた証拠。
日本テレビの毎週月曜日ひる「お笑い昼席」「金曜夜席」では司会やレギュラーをつとめ、喋りまくっている。
NHKの「まんが学校」でもユニークなセレモニーで子供たちにも人気がある。「酒・タバコよりは女性」とつぶやく彼に、いろいろ口説き文句を御伝授願うことにした。

・・・

立川談志さんのご冥福をお祈りいたします。v±v

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お家寄席95・ぞろぞろ

さて、今日は「ぞろぞろ」の一席です。
この作品で、「持家」の落語シリーズは終了するんですが、実はこの後も作ってたんです。
ところが、更新が出来ない不具合が起こったんですね。
その上やがてパソコンが壊れて、せっかくの取り入れたネタもパーに。x±x
そのネタも今ではどんなものかでさえ忘れてしまったという・・・。
・・・ではこちらは、平成18年7月25日の作品です。25日の作品ですが、クラブ活動関係で本日に繰り下げてお送りいたします。

というわけで、とりあえず落語は今日でおしまいです。
落語をご覧になりたい場合は、カテゴリーから「落語」を選択するといつでも寄席になります。
また、お好きなねたを選ぶ場合は、同じくカテゴリーの「目次(インデックス)」からどうぞ。
お名残惜しいですが、ではまた、いつの日か・・・。^±^ノ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

7月25日 ぞろぞろ・・・ってぇ落語

皆さん、お久しぶりでございやして。

今日は、「ぞろぞろ」ってぇ、ちょいと一風変わった落語でして。

でも、落語には、こんな音が演目の落語もいくつかありやして。
たとえば、この「ぞろぞろ」のほかに「だくだく」、これは以前、あっしが落語を演(や)ったこともありますな。
それから、「とろろん」、「つるつる」なんてのも。「権兵衛狸」は別名、「とんとん権兵衛」とも言いやすし。

四谷左門町の(よつやさもんちょう)に、お岩稲荷なんてのがありやして。いえ、今日はなにも怪談をやろうってわけじゃありやせんがね。このお稲荷さんの近くで茶屋をやってる老夫婦がおりやして。

・・・あ、もう本題に入ってますよ。皆さん、ついてきてくださいね。これが「ぞろぞろ」ってぇ噺(はなし)の頭なんですからね。
実は、この噺にゃ、頭が二通りあるようでしてな、これを「浅草の太郎稲荷」っていって演じる場合もあるんですが、こちらのほうが「おとぼけ」感がありますな。ただ、小さいお稲荷さんですと、名が知れたとしても人々が「ご利益」を求められるのか、ある程度、最初(はな)っから名の知れたお稲荷さんのほうがリアルだってぇこともありやして。
・・・まあ、好きなほうをお持ち帰りください。

とにかくこの老夫婦、悩んでやして。
ってぇ申しますのは、参詣者が近頃、めっきり減っちまって、てんで客足がねぇ。商売上がったりで、どうしようかと思案してもどうすることも出来ませんで、しょうがないから、今日も今日とてお堂を清め、参堂の掃除をし、お稲荷様にお供えをし、願をかけやす。

「お稲荷様。どうか、このお稲荷さんと、出来ますればうちの茶店も繁盛(はんじょう)しますように・・・」

大変、まめでしてな。
老夫婦がいつものとおり、お稲荷さんの掃除が済んで、茶店でひとしきり休んでたある日、突然の村雨が・・・。これがひどい降りで、中野なんかは洪水が出ちまうほどの・・・例の、「集中豪雨」・・・「ゲリラ豪雨」っていうやつで。

「いやぁ、ひどい降りじゃなぁ・・・、こんな降り方は珍しいねぇ、おばあさん・・・」
「そうですねぇ。おじいさん・・・」
って話をしている間、近くの田んぼで農作業をしていたお百姓さんたちが、ぞろぞろとやって来やしてな。

「いやぁ、ひどい降りだねぇ。あ~あ・・・。ちょいと、ここで雨宿りさせてくれねぇか」
「ええ、どうぞどうぞ、ごゆっくり・・・。^±^」
「悪いねぇ。・・・お。この丸い白いお菓子、なんだぃ?」
「ああ、それはハッカ飴でございます」
「ハッカ飴? おかしいな。そんなことはねぇだろう。だって、ハッカ飴って、大概、三角じゃねぇか?」
「いえ、このハッカ飴は仕入れたときは三角だったんですねれどもねぇ、売れないままに、あっちこっち動かしてたら、方々にぶつかって、しまいにゃ、こんなになっちゃいましてねぇ・・・」
「ふ~ん。ハッカも苦労をして丸くなったんだ、世慣れて角が取れたんだねぇ? はっはっは・・・」
「はっはっは、そうかもしれませんねぇ・・・」

そんな世間話をしてるうちにすっかり雨は止んだんですがな、ところが道のあちこちにぬかるみができちまいやして。

「ああ、これじゃ、歩けねぇ。あすこのひもにぶる下がってるわらじ、一足くれ」
「あっしも・・・」
「あっしも・・・」
「ありがとうございます・・・」

これで、わらじは売り切れやして。それでも老夫婦にとっては、久々の売り上げですからな。
「おばあさん。驚いたねぇ。ずっと売れないで残ってたわらじ、今日全部売れちまったよ。これもお稲荷さんのご利益(りやく)だねぇ」
「そうですねぇ。ありがたやありがたや。後で、お礼参りに、行かなけりゃいけませんねぇ・・・」

そこへまた、
「じいさん、わらじ、売ってくれ」

じいさんはもうすっかり売れちまったって確認してたので、丁重にお断りしやす。
「あの、相すみませんが、わらじは売り切れでございまして・・・。申し訳ございません・・・」

ところが、
「じいさん。耄碌(もうろく)しちゃ困るなぁ。ちゃんとそこに一足、かかってるじゃねぇか」

見ると、いうとおり、一足だけかかってる。
「あれ? 変だな? 確かに売りつくしたと思ってたのに・・・」
そう思いながらも、
「ありがとうございます・・・」
ってこれを売っちまう。

「おばあさん。不思議なこともあるもんだ。これもきっとお稲荷様のご利益かねぇ・・・」
「そうですねぇ・・・。またお稲荷様にたんとお礼を言わないといけませんねぇ・・・」

で、その後、またまた、
「じいさん、わらじを売ってくれ」

で、見るってぇっと、ちゃんとわらじがかかってやして・・・。
これを一個売るってぇっと、その後から新しいわらじが、ぞろ、ぞろと出てくるんですな。
まあ、出てくるってぇっか、生えてくるってぇか・・・。
これが噂が噂を呼びやして、このお稲荷さんも茶店もすっかり繁盛しやしてな。

それを見た欲の皮の張った、二番煎じの床屋の親方が、掃除もせず、お供えもせず、一心不乱に願をかけやす。

「どうか、うちの店もあの茶店のように、ぞろぞろと繁盛しますように・・・」

で、さっさと願かけ、帰りますってぇっと、店の前に行列が・・・。

「おぅ親方。どこに行ってたんだよ! 髭(ひげ)あたってくれよ!」

「おう、こいつはありがてぇ・・・」
親方が早速店に戻り、支度しやす。

ところがいくらお客さんの髭(ひげ)を剃っても、なんだかやけに時間がかかるんですな・・・。

「変だな」
と思いながら、また剃るんですがな、何かおかしい・・・。

親方、それでも一生懸命剃る。あせるあせる・・・。
何しろ店の外はぞろぞろと行列が。

「おい、早くやってくれよ!`±´」

行列からも怒号が飛びやして・・・。

「あれ? 変だな。ちゃんと髭を剃ったはずだが・・・x±x」

親方、不思議がりながらもその髭を剃っているってぇっと、その後から新しい髭が、ぞろぞろ・・・^±^

お後がよろしいようで・・・。

m<●>m!

テーマ : 落語
ジャンル : お笑い

お家寄席94・堀の内

さて、今日は「堀の内」の一席です。
そそっかしい男の落語です。それにしても、そそっかしいにもほどがあると思うんですが・・・。
・・・ではこちらは、平成18年7月21日の作品です。

そして、このシリーズはひとまず次回で終了です。またの機会をお楽しみに・・・。

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7月21日 堀の内・・・そそっかしい落語でお笑いください

えー、うっとうしい梅雨がまだ続いてやして。

ひどい所は被害をもたらして、・・・心からお見舞い申し上げます。

こんな時は、もう落語を聴いて憂さを晴らしていただければ・・・。ってぇわけで、間抜けな落語でもいたしやしょうかねぇ。

まあ、そそっかしいってぇやつが日本全国、どっかしらにいるようで・・・。えー、ここにもおりやすが。
あっしなんかも年中そそっかしいもんですからね。
だからこの落語、笑えねぇ・・・。したがって笑えねぇから、こっちが聞かすってぇ寸法で・・・。
・・・まあ、お付き合いくださいやし。^±^ノ

ちょいと前の話で、こちらは粗忽の熊さん・・・。とにかく粗忽もんです。

「おっかぁ、なんか、あっしは病気みたいなんだ。なんか体がかしぐんだよ」
「お前さん、だって、右足に下駄、左足に草履を履いてるよ」
「あ、道理で体がかしぐはずだ」^±^ノ
「お前さんは本当にそそっかしいんだから。お前さんだって落ち着けば一人前なんだからね。そうだ、お前さんの粗忽が直りますようにって、堀の内のお祖師様、あそこにお参りに行っておいで」
「ああ、じゃあ、行って来る」
「お前さん、今日はもう夕方だよ。弁当作っておくから、明日の朝、行っておいでよ」
「明日って明日はいつ来る?」
「そんなの、夜が明けたらに決まってるじゃないか」
「何しに行くんだ?」
「だからぁ・・・。わからないかねぇ。お前さんの粗忽が直りますようにって、行くんだよ」
「・・・そうか、じゃ、行ってくる」
「お前さん大丈夫かい? アルツハイマーだよ。明日行けって言ってるじゃないか」
「明日って、いつ来る?」^±^

こんな先に進まない会話が続きますんで、かみさんもイライラしやしてな。

「寝ろ!」
熊をひっぱたいて気絶させて寝かしつけやす。
で、カラスカーで夜が明けやして。

「お前さん、夜が明けたよ。行っておいで」
「う・・・ん? どこに?」
「ほら、昨日言った、堀の内の祖師堂、お祖師様だよ」
「誰が?」
「お前さんがだよ」
「何しに?」
「粗忽が直りますようにって・・・お参りに行くんだよ」
「誰の?」
「決まってるじゃないか! お前さんのだよ。弁当用意したから、早く、嗽手水に身を清めて行きな。いちいち・・・またひっぱたかれたいのかい?」

「行って来や~す」
ひっぱたかれちゃたまらねぇんで、それは熊さん、慌てて家を出ます。

「南無妙法蓮華経(なんみょうほうれんげーきょう)、南無妙法蓮華経」
お題目を唱えながら行くってぇっと、

「あれ? あっし、どこ行くんだっけ?」x±x

はて。困りやしたな。で、近くの男に尋ねて見ます。

「あの、あっし、これからどこ行くんでしょう?」
「ええ? 知りませんよ。でも、あなた、お題目を唱えてたねぇ。南無妙法蓮華経って。ああ、堀の内のお祖師様だね。じゃ、反対だよ。ここ、亀戸天神だよ。この道まっつぐ行って、鍋屋横丁(なべやよこちょう)ってぇところがあるからそこを左に曲がっていくと着くよ」
「ええ、そうですか? ありがとうございやした・・・南無妙法蓮華経・・・」
「・・・南無・・・、鍋屋横丁ってどの辺だろう? お、そこに女の人がいるから、聞いてみようっと、・・・あの、すみません・・・」
「あら。お前さん、早かったねぇ」^±^
「いけねぇ。ここ、あっしん家(ち)だった」x±x

やっとのことで祖師堂に着いたんですが、弁当を広げたらかみさんの腰巻が出て来たんで、
「恥かかせやがって」
って、逆上し怒鳴り込んだところが隣のかみさんのところでしてな。

「おい、うちはこっちだよ!」
「おっかぁ、ごめん・・・x±x」
「何だよ。隣の家で怒って、うちで謝ってどうすんのさ! じゃ、金坊連れて湯に行っといで」

すると一人息子の金坊。
「やだよ、おっかさん。だっておとっつぁん、頭から湯船に入れようとするんだもん」

おとっつぁん、この言葉にとんがり(向きになり)やして。
「バカヤロ、天ぷらだって、頭から先に鍋に入れるんだ! 贅沢(ぜいたく)言うなぃ! 銭湯、行くぞ!」

無理矢理、金坊の手を引っ張って家を出やす。
左足に下駄、右足に草履を履いて・・・。^±^ノ

「お、金坊。どうやら銭湯に着いたぞ。じゃ、おとっつぁんから服を脱ぐからな」

熊、早速、服を脱ぎ始めやした。するってぇっと、

「ちょっとちょっと、困るねぇ。こんなところで着替えちゃダメ。ここは床屋だよ! お前さん、先週も同じことやったね」

そりゃ、止められますわな。^±^

その後は八百屋さんと、乾物屋さんで同じことをしようとしたんですが。もう、この親子の粗忽っぷりをいちいち説明しても時間の無駄なんで省略いたしやすが、やっとのことで銭湯に着きやした。

「おい、やっと着いたよ、良かったな、金坊」

ところが熊は金坊を引き連れて、いきなり女湯に入って、二人ともひっぱたかれ、いい年して親子でコーラスで泣いたりして。

気を取り直して、男湯から入りなおすも、今度は他人が連れてきた女の子の服を脱がせたり、番台の代わりに扇風機に挨拶したりして。
で、なんとか自分たちも着物を脱いで、ようやく浴場に入るってことになりやして。それでも粗忽は続きやすな。

「おいおい、金坊、慌てるなって。ダメだよ、慌てちゃ。まだパンツ、膝まで下がってらぁ」
「なに、おとっつぁんだって、靴下はいてるよ」

こんな親子が浴室に入るとこれまたとんちんかんな事件が起こりやして、もう大騒ぎでしてな。

「金坊、湯船に入る前に、ちゃんと体洗えよ」
「おとっつぁん、湯船にいきなり飛び込んでそんなこと言うの?」
・・・なんてね。

そんなこんなで、熊が、金坊の背中を洗ってやるんですが、どうも様子がおかしい。

「金坊、お前の背中、やけに広くなったねぇ・・・」

「あれ? おとっつぁん、床のタイルを洗ってらぁ」

「堀の内」ってぇ、粗忽もんの一席で・・・。

m<●>m!

テーマ : 落語
ジャンル : お笑い

お家寄席93・青菜

さて、今日は「青菜」の一席です。
有名な落語のひとつですね。
付け焼刃(つけやきば)ははがれやすいとは、ごもっとも。仰せのとおりです。
・・・ではこちらは、平成18年6月28日の作品です。

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6月27日 青菜・・・ってぇ落語を・・・。

いよいよ梅雨が明けますってぇっと、待ちに待った夏ですな。
夏っていいますってぇっと、涼し向きの歌が恋しくなりまして。

庭に水、新し畳、伊予簾(すだれ)
   数奇屋縮みに、色白の美女(たぼ)

太田蜀山人(おおたしょくさんじん)の歌なんですが、こんなのが涼し向きでして・・・。

庭に水をまくと、気温が下がるんですな。
日本中一斉に水をまくってぇっと、一気に気温が2度ほど下がるっていいやすが、部屋ん中じゃ、ガンガンクーラーを効かせたりして。
・・・ええ、これじゃぁ、意味ありやせんですな。

新しい畳、これも気持ちいいもんですな。藺草(いぐさ)のにおいが、癒されやすな。

伊予簾(すだれ)、最近は簾なんてあまり見られなくなりやしたな。簾から通す風なんざ、まことに気持ちいいですな。

数奇屋・・・これは茶室のことですな。あんなせまっくるしいってお思いでしょうが、無の境地になれば暑さなんて吹っ飛んでしまうでしょうからな。
ちなみにあっしは、そんな境地になったことはありやせんで・・・。

縮みは、着物ですな。

色白の美女(たぼ)・・・。これは却って、心臓がバクバクして、涼しいどころか暑くなっちまうかもしれないですが・・・。

「植木屋さん、あなた大層、ご精が出ますな」
「あ、ご主人さんでござんすか? 植木屋って商売は、こうやってタバコをぷかぷか吸って、バカにのんきだって言われやすけどな。こう見えてもあっちの樹の葉が切りすぎてねぇか、こっちの石畳から見たらどうかって、いろいろ工夫を考えてるんで・・・」
「いやいや、さようか。植木屋さんが今しがたまいた水は、青いものから風がさっと吹いて、そこから通す風はまことに心持ちがええな」
「へへっ、ありがとうございやす。いえね、あっしん家に吹く風なんか、こんなにいい風じゃございませんで。あっちの路地でぶつかり、こっちの路地で曲がりきれねぇってぇんで・・・結局やって来た風ってぇのは何のことはねぇ、生暖かい、化け猫の出そうな風で・・・」
「あっはっは。化け猫とは面白いな。植木屋さん、お疲れでしょうから、ささっ、その縁側へおかけくださいな」
「いや、こんな汚ねぇ半纏(はんてん)で、縁側が汚れちまいますよ」
「汚れてもかまわんからおかけなさい。ところで植木屋さん、あなた、ご酒(しゅ)はおあがりかな?」
「ご酒っていいやすと? 酒ですかぃ? ええ、でぇ好きなもんで・・・。お足もらって途中で酒屋があったら全部使っちまうってぇくれぇなんですがな。あいにく、この辺に酒屋がねぇんで我慢してかかぁんところへ帰(けぇ)って、うちの安酒で毎晩我慢してるんですがな。これがすぐに胃にもたれるやつで・・・。へへっ、いつかは家出してでも酒屋に行きてぇって思ってるんでござんすが、なかなかチャンスがねぇんで・・・」
「そうか、さほどお好きとみえる・・・。ならば今日はご酒をご馳走しましょう」
「さいでござんすか? じゃ、あっしは台所か庭先で・・・」
「いやいや、今ここに取り寄せるで、奥や~」

ポンポンと、二度手をたたきやすってぇっと、次の間から奥様がいらっしゃいやしてな。
「おい奥や、植木屋さんにご酒をお持ちしなさい」
「だんな様、かしこまりました」

「へぇ、今のお方、奥様でいらっしゃいますか? お上品な奥様ですな。それに比べて、うちのかかあなんてひどいもんですよ。
一間も響くようなでっけぇ声で、
『いわしがさめちゃうよ!』
これですからな」

暫くするってぇっと、酒が運ばれて来やしてな。
「こちらは、大阪の友人から届いた柳影だ、ささ、おあがり」
「柳影ですかぃ? ご主人様、これはこっちじゃ、直酒(なおし)ってやつですな。所変われば品名が変わるってやつですか。・・・冷たいですな」
「いやぁ、さほど冷えてはおらんが、あんた今まで日向で仕事をしておったで、それで冷たく感じるんじゃ」
「いや~、おいしゅうございますな」
「そう言っていただけるとまことに心持ちがええものだ。ま、ま、なにもないが鯉のあらいでもおあがりなさい」
「へ? 鯉のあらい・・・ですかぃ?」
「そこにあるのが鯉のあらいじゃ」
「へぇ。これが鯉のあらいでござんすか。これはやっぱり、洗って白くするんで、鯉のあらいって言うんですかねぇ・・・。ちょっと、お尋ねしやすが、クリーニング代はどのくらいかかったんでございやしょう?」
「フォッフォッフォ、いや、黒いところは皮じゃ。その白いところは鯉の身でな。淡白な味じゃ」
「さいですか、じゃ、ウナギの皮なんてぇのは細長いからズボンみてぇなもんですか・・・。いや、あっしはウナギのズボンなんて食えねぇんでして・・・。いつもシャッポ(帽子)ばっかり食ってるもんで・・・。またはドジョウの半ズボンが精一杯で・・・。鯉のあらい・・・。冷たいですな」
「底に氷が冷やしてあるでな、それで冷たい・・・」
「じゃ、あっし、この氷もひとっかけいただきやす・・・。ああ、この氷、冷えてやすな」
「氷が冷えてるなんて、面白いな・・・」
「いけますな。うまいですな。結構な味でございますな」
「いやぁあなたのようにおいしいおいしいと言ってくださると、こちらも大層心持ちがええ。ところで植木屋さん、あなた、菜はおあがりか?」
「ええ、でぇ好きなもんで・・・」
「でぇ好き・・・?」
「・・・ええ、・・・大好きでして、目がありませんで・・・」
「そうですかそうですか、ではお取り寄せしましょう」

再びポンポンと手をたたくってぇっと、
「奥や。植木屋さんに菜を差し上げなさい」

するってぇっと、三つ指をついた格好で奥様が、
「旦那様・・・」

「どうした?」

「鞍馬から牛若丸が出(い)でまして、その名を九郎判官(くろうほうがん)・・・」

「そうか、それでは義経にしておきなさい」

「植木屋さん、残念でございます。男というのはまったく台所に関わらないもので、申し訳ありませんが、菜はあいにく切れてしまいまして・・・」
「そんなことはよぅござんす。お客様がお見えになったんじゃありやせんか? 牛若丸さんとか義経さんとか・・・」
「はっはっは、それは実は私どもの隠語、隠し言葉でな、植木屋さん、あなたですからお話しますが、その名を九郎判官っていいますのは菜をいただいてしまって、つまり食らってしまいなくなったので、食らう判官・・・、で、よしておきなさい、っていうのを義経にしておきなさいと・・・洒落(しゃれ)たものでして・・・」
「へぇ、そうですか。洒落でございますか。なるほどねぇ・・・。あ、あの旦那様・・・。柳影、義経になってしまいやして・・・」
「あ、これはこれは重ねて失礼しました。柳影はもうありませんが、別のでしたら・・・」
「いえ、冗談でございやす。これ以上いただきますと、あっしも足を取られやすんで・・・。じゃ、今日は大変ご馳走になりやした。明日も同じ時間にお伺いいたします」

この植木屋、あまりに感心したのか、お屋敷を出てから家へ帰るまで独り言を言いっぱなしでございやす。

「いや、すごいねぇ。大したお方だねぇ。鞍馬から牛若丸が出でましてその名を九郎判官・・・菜を食っちまってねぇから九郎判官・・・奥様が義経にしておけ・・・。いや大したもんだ。それに比べてうちのかかあなんか気がきかねぇよなぁ・・・。いわしがさめちゃうよ!・・・だもんなぁ・・・。向うのお屋敷は九郎判官・・・義経にしておけ・・・立派なお家柄だ!」

すると、かみさんが、
「何をぶつぶつ言いながら帰って来るんだろうねぇ、うちのだんつくは・・・。おい、いわしがさめちゃうよ!」
「ほら、二言目にはいわしがさめるだからねぇ・・・。おい、よーく聞けよ!あっしゃ今日はとても感心してるんだ」
「あーあ。そうかい、そうかい。またお前さんの得意な感心かねぇ。いつもお前さん、つまらない感心ばっかりしてるんだからねぇ。こないだなんか、猫にはヒゲがあるよなぁ、ヒゲがあるってのは偉いよなぁ、なんてさ、わけのわかんない感心してたくせにさ・・・。その次ぐ日にゃ、今度は、犬にもヒゲがあったよなぁって、ヒゲがあるのはつくづく偉いんだよなぁって、またまたくだらない感心をしてたよねぇ・・・。今日もお前さんのくだらない感心につき合わされるのかい?」
「いいから聞けってぇんだ。お屋敷に行って仕事をしてたら、旦那様から柳影ってぇ酒と鯉のあらいをいただいたんだ」
「へぇ、お前さん、結構なものをいただいたねぇ・・・」
「鯉のあらいって言ったって、洗って白くするんじゃねぇぞ」
「わかってるよ、そんなことぐらい・・・」
「あっしはな、洗って白くするって思ってたんだ。クリーニング代、いくらか聞いちまった・・・」
「バカだねぇ、このお人は・・・」
「フォッフォッフォって笑われちまった・・・」
「当たり前だよ!」
「そいからな、植木屋さん、菜をおあがりって言われたんでぃ」
「菜っ葉ならうちにもあるよ」
「ここが肝心なんだから黙ってろよ」
「ヘイヘイ、黙ってますよ。黙ってようがどうしようが、ろくなこと言わねぇんだ、どうせ男は・・・」
「うっせぇ。黙ってろってば。で、パンパンと、二度手をたたくってぇっと・・・」
「神社のお参りかい?」
「よく聞いてろよ! そしたらな、奥様が次の間から出てきてな、三つ指を突いて、こういう格好でな・・・」
「ああ、そういうかっこうしたカエルが出ると雨が降るんだよ」
「うるせえな。てめぇなんかやったことねぇだろ! こういう格好して、『旦那様』と・・・」
「右や左の・・・ってでも言うのかい?」
「混ぜっ返すな。こん畜生め!
『旦那様、鞍馬から牛若丸が出(い)でまして、その名を九郎判官(くろうほうがん)』
菜は食っちまってねぇからその名を九郎判官ってぇんだ。で、
そして旦那様がよしておけっていうのを
『義経にしておけ』
・・・ってぇんだ。どうだ、てめぇなんかにこんな気の利いたことを言えるか?」
「言えるよ。言ってやるからお前さんも鯉のあらいを買っておいで!」

これには言い返せねぇ・・・。

ぐっと言葉に詰まったところで、大工の熊が外を歩いてたんで、
「・・・お、向うから熊の野郎が来た。おい、早速あいつに一杯飲ませて今のやつをやるから次の間にすっこんでろ」
「次の間って、どこにあるんだい?・・・お前さん」
「・・・あ、うちにゃ、次の間なんてなかったな。・・・いいや、そこの押入れにでも入ってろ」
「嫌だよ、こんな狭いところ・・・」
「いいから入ってろよ、でけぇけつして、入ってろ」
かみさんを無理矢理押入れに押し込めるってぇっと、熊を呼び止めやして、段取りどおりになりやす。

「畜生、来やがったな・・・^±^」
「うん? なんか言ったか?」
「いやいや・・・あなた大層、ご精が出ますな」
「いや、精なんか出ねぇよ。今日は暑(あち)くって半ドンで仕事をやめて昼寝をしてたんだ」
「昼寝をするとはご精が出ますな」
「おいおい、暑さでおかしくなっちまったのか? それとも嫌味かい?・・・昼寝して精が出るわけねぇだろう」
「あそこの青いものから通してくる風はまことに心持ちがええな」
「おい、気は確かか? おめぇんとこに青いものなんてねぇじゃねぇか。ごみだめが置いてあって、そこにハサミムシがはってるじゃねぇか」
「あのハサミムシがはってるところは心持ちがええ」
「変なところが好きだな」
「この縁側におかけ。汚れてもかまわん」
「おい、縁側なんてねぇじゃねぇか。それにこっちの服が汚れらぁ・・・」
「あなた、ご酒をおあがりかな?」
「ご酒? 酒かい? おめぇも知ってるだろ。酒は好きだよ。それにしてもやけに丁寧な言葉を使いやがるなぁ。・・・まあいいや。おめぇがご馳走してくれんのか? 珍しいこともあるもんだな。明日雪が降らねぇかな」
「大阪の友人から届いた柳影だ。ささ、おあがり」
「柳影? 洒落(しゃれ)た酒を飲んでやがんな・・・。おい、なんだこれ。ただの酒じゃねぇか」
「柳影と思っておあがり」
「思わせやがったねぇ・・・」
「ま、さほど冷えてはおらんが、あんた今まで日向で仕事をしておったで、冷えてると感じるんじゃ」
「冷えてねぇよ。燗(かん)がしてあるじゃねぇか。それに仕事もしてねぇよ」
「なにもないが、鯉のあらいをおあがり」
「へぇ、鯉のあらい?・・・贅沢なものを食ってるねぇ。いただこうじゃねぇか」
「そこにあるからおあがり」
「なんだ、これ、いわしの塩焼きじゃねぇか。x±x」
「鯉のあらいと思っておあがり」
「どうでもいいけど、あらいの焦げてるのって初めて見たぜ・・・。でも、こいつはいけるぜ。うまいよ」
「あなたのように、うまいうまいと言ってくれるとまことに心持ちがええ・・・。ところで植木屋さん、あなた、菜はおあがりか?」
「おぅ、しっかりしろよ。植木屋はてめぇじゃねぇか! 俺は大工(でぇく)だよ。悪いけど、俺は菜はダメなんだ。嫌(きれ)ぇなんだよ」
「・・・菜はおあがりか?」
「虫がすかねぇんだ。いらねぇな・・・」
「・・・あの、菜は・・・^±^」
「だから俺は菜が嫌(きれ)ぇなんだって言ってるだろ? しつけぇ野郎だな」
「・・・俺の酒飲んで、いわしを食っちゃって、ここまでサービスしたのにそりゃねぇよ・・・。そんなこと言わねぇで・・・食わなくてもいいから、食うって言ってくれ。x±x」
「おい、泣いてるよ・・・。わ・・・わかったよ。食うって言えばいいんだろ?・・・じゃ、 食うよ」
「何?・・・食う?・・・。食うって言ったらこっちのもんだ。ざまぁみやがれってぇんだ!^±^ノ」

たちまち元気になりやして、力いっぱいパンパンと手をたたくってぇっと、
「おい。奥や~^±^ノ」

「奥だと? 笑わせんな、こん畜生! 奥も何も、おめぇんち、ひと間しかねぇじゃねぇか!」
「うるせぇ、黙ってろってんだ! おい、奥や~!^±^ノ」

すると押入れの中から、汗だくになったかみさんが、
「旦那様~x±x」
って出て来たんで、これには熊さんはびっくりでしてな。

「おいおい。押入れからかみさんが出て来たよ。どんなパフォーマンスなんだい?」
「黙ってろってぇんだよ! おい、奥や、植木屋さんに菜を差し上げな」

「右や左の・・・旦那様・・・」
「何だ? どうした?」

「鞍馬から牛若丸が出(い)でまして、その名(菜)を九郎判官(くろうほうがん)義経!」

ここが付け焼刃の悲しさですな。かみさん、植木屋さんの「義経」まで言っちまったんで、植木屋さん、言葉に詰まって、

「よ、義経?・・・ん、じゃあ、弁慶にしておきなさい」

有名な「青菜」の一席でした。

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テーマ : 落語
ジャンル : お笑い

お家寄席92・抜け雀

さて、今日は「抜け雀」の一席です。
ただで何日も宿泊した謎の人物とは?
・・・ではこちらは、平成18年6月6日の作品です。

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6月6日 抜け雀

えー。今日び、動物保護ってのが増えてまいりまして、それはそれでようござんすが、また、外来のものがやって来たために絶滅ってぇ危機に瀕(ひん)してる動物も多いようで・・・。

一昔前には、スズメも多かったですな。
最近、少なくなったと思いませんか?
スズメ百まで踊り忘れず・・・
諺(ことわざ)にありますが、とてもとても百なんて生きられませんですな。

スズメは鳥の中でも小さい動物なんで、ただでさえ大きな鳥に狙われやすいんですからな。

おまけに、物騒な世の中になってしまいやしたな・・・。人の弱みに付け込むってぇ言いますか。人間として最悪の事件が後を絶たないのは、嘆かわしいことですな。

ただ、昔から卑劣な事件が多かったようですな。
それは「籠」なんかに乗るにも、いい籠屋さんだったら、
「どこどこ行ってください」
って言うと、
「へぇ・・・」
って、目的地に連れてってくれるんですがな。
こんな籠屋ばかりでありませんで。
たとえば、女性などの一人旅で、
「どこどこへ行ってください」
って安心してるってぇっと、人気のねぇ、暗いところに連れて行き、悪いことをした挙句、宿場女郎に売っちまったってのもいたそうで・・・。人間の風上にも置けねぇ野郎が、昔からいたんですな。許せねぇですな。
したがって、「籠屋」を「かごかき」なんて言いやしてな。悪い代名詞でもあったようでした。
時代もちょうどこの頃の落語でして・・・。

今回は「スズメ」、「物騒」、この2点をキーポイントにしていただきたいんで・・・。

こちらは、神奈川の小田原宿・・・。
ここに「相模屋」ってぇ宿があるんですが、どうにもうだつがあがんねぇ・・・。というのも、ここのご主人、絵に描いたようなお人好しでしてな。

「うちはこの宿場で、一番いいお宿で・・・ありませんで、では、二番目かといいますと・・・そうでもありませんで・・・」
って、宿の宣伝もこんなに控えめでして。

「でも、親切を旨としてますので、安く泊まれる宿です・・・」

こんな調子ですから、どんどん利用されるのはいいんですが、人のいい奴ばかりとは限りやせんですな。大体が無銭飲食でとんずらされちまいやしてな。経営は大赤字でございやす。

「おまいさん。いい加減しにしておくれよ。今度お客さんに逃げられたら、おまいさんの目玉、くり抜くからね」
女房もいつも呆れておりやす。

さて、ここの家には衝立(ついたて)がひとつありやしてな。
この衝立も、危うく逃げられるところを、
「じゃ、何か造って、それを宿代代わりに・・・」
ってことで、造らせたやつでして。
ただ、この男、欲のないため、その衝立を造ったのが名人とはわかってませんでしてな。
宿の経営が危うくなったらいつ売ろうかな、売れねぇだろうな・・・なんてため息をつく程度です。せめて目利きがあればいいんですが、それさえもねぇ・・・。

そんな呆れた宿なんですが、その日も見るからにお金のなさそうな浪人風の男を呼びこんじまいやしてな。

しかもこの男、口だけは達者ですな。

「おい、ここの宿、前金として100両も預けておこうか」
などと、途轍(とてつ)もなくどでかいことを吹いたんで、ご主人、すっかりその気になって舞いあがっちまいやしてな。

「と・・・とんでもございません・・・お代はお立ちになる時で結構でございます」
「・・・そうか、欲のないやつだな。それはますます気に入った。じゃ、お前の宿に泊まるぞ」
「・・・あ、ありがとうございます」

ところがこの男、毎日、朝1升、昼1升、晩1升と、毎日3升の酒を呷(あお)って1週間も部屋でごろごろしてやす。

「あの男、おかしくないかい?」

最初に気づいたのは奥方のほうで。

「おかしいって、何がかい?」
「毎日、2階の部屋でごろごろしてるじゃないか」
「・・・べ・・・別にいいじゃねぇか。おかしくはねぇよ。土間にもぐって寝てたらモグラじゃねぇかって疑うけど・・・」
「いや、おかしいじゃないか。毎日3升の酒を呷って、外を見物するわけもなく、毎日ごろごろしてるんだよ。それが1週間だよ。あたしゃ、何かあるんじゃないかって・・・気になるんだけどねぇ。ひょっとして、おまいさんのお得意で、また無賃者を泊まらせたんじゃないかねぇ・・・」
「そ・・・そんな・・・簡単に人を疑うもんじゃねぇよ。すぐ人を疑うのはお前の悪い癖だよ。あの人は違うよ。あの人はね、
『内金に100両も払っとこうか』
って言ってたんだよ」
「でもねぇ・・・おまいさんはのべつ無賃者を泊まらせてるんだからねぇ。いまさら信用できたもんじゃないよ。じゃ、こう言ってごらん。
『お酒を用意したいんですがあいにく支払いが滞ってまして、酒屋につけが利きません。申し訳ありませんが、5両だけでもいただきたいんですが・・・』
って言ってごらんよ。100両のうちのたった5両なんだから」
「・・・そうかい? でも宿賃は後払いで結構ですって言った手前、それは出来ねぇよ」
「じゃ、あたしが・・・って言えばいいじゃないか。ぐずぐずしないで、とっとと行って来な」

尻をポンとたたかれて、奥さんにけしかけられ、しょうがなくこの男のところに行きますってぇっと・・・、この男。

「何? 5両・・・? ないよ・・・」

あまりにも堂々と答えたんで、ご主人、耳を疑いやしたな。

「え?」
「ないものは、ない!」
「え? 1文もないの?」
「ない!」
「え? からっけつ?」「からっけつだけは余計だ!」
「え~? ない?・・・ないって・・・。それはないよ・・・1週間も毎日酒をがぶがぶ・・・お金がないのによく堂々としてられるね。どうすんの? どうするんだよ」
「で、わしもどうしようかと困っておるんじゃ。100両あるってでかいことは言ったけど、実際はないし・・・。そうこうしてるうちに、1週間経ってしまった・・・どうしよう?」
「ど、どうしようじゃないよ! こっちが聞きたいよ。こっちゃ、またうちのものにがたがた言われるんだ。なんでお金がないのに1週間も泊まるんだよ。1日か2日なら何とかなるってのに・・・」
「そうだ! じゃ、宿賃の肩代わりに、何か書き残しておこう。じゃ、何か描くものを持って来なさい」
「描くものですか・・・。じゃ、この衝立(ついたて)でいいですか」
「ほう、いい衝立だ。なにゆえに、ここにこんないい衝立がある?」
「それはね、かれこれ1月も前ですかねぇ・・・。お前さんと同じ、お金を持ってないのが泊まってねぇ。お前さんと同じお金のないものがねぇ・・・これを造ったんだ」

こんな主人のささやかな嫌味にも聞く耳を持ちやせん。

「ほう、これはいい仕事をしておる。これならば描き残して行けるぞ。よかったな、ご主人!」
「全くこのお方は、嫌味も通じないんだからね。じゃ、この衝立、どうするんです?」
「じゃ、わしが描くからお前はこの墨で、墨を磨(す)りなさい」

懐から、形のいびつな、使い古しの墨を出しやして、ご主人に渡しやす。

「そんな・・・。自分で磨(す)ればいいじゃないか!」
「こっちは絵を描いてやるんだから、お前が磨(す)るんだ! ばか!」
「・・・どうせばかですよ。ばかだからお前さんを1週間も泊めたんだ・・・。おや、この墨、いい薫りがしますな」
「お? わかるか? お前は、鼻だけは一人前だな」
「へいへい、いまさら鼻だけ褒められても、いまさらお足も入ってこないし・・・別に嬉しくありませんよ・・・。はい磨りあがりましたよ・・・」

ご主人に衝立を持って来させて、あまつさえ、硯(すずり)に墨をすらせて、自分はしばらく堂々と腕を組んでやしてな。準備がすっかり整いやすってぇっと、

サササ・・・!

目にも留まらぬ速さで書き上げやした。

「こ、これ何?」
「見て分からんか? お前、鼻はいいが、目はダメだな。もう、そんな目なんかいらんから、くり抜いて、後は銀紙でも貼っておけ!」
「よくそんな無茶なことを言いますね。だから何なの? この絵は」
「わからんか? スズメが描いてある」
「スズメ?」

最初は目を疑ったご主人も、凝視してるうちにスズメに見えてきます。そのうちにスズメ以外何者でもない気がしやした。

「・・・ス、スズメだ・・・。あ、こっちから見て・・・あ、スズメだ!」

「じゃ、お前にはこのスズメを預けておくが、この絵は決して売るなよ」
「言われなくても、売れませんよ!」
「じゃ、わしは失礼する!」

さっさと出て行きまして・・・。
後からおかみさんの声が。

「ちょいと、お前さん」
「へ?」
「お前さん。今、泊まってた男が出て行ったね。お勘定はちゃんといただいたのかい?」
「・・・い・・・いや・・・。その・・・ただで・・・」
「どうしてお前さんはのべつまくなしでただでお客さんを泊まらせるの? お前さんの目はもう目の役目なんてしてないよ。そんな目なんかいらないから、さっさとくり抜いて、後は銀紙でも貼っておきな!」
「さっきもそれ、言われた」
「お前さんはいつもそうなんだから・・・もうお宿なんてやる気しないよ。明日から廃業だ。・・・今日はもう寝ちまうよ」

おかみさんは不機嫌になりやして。まあ、ご主人自らまいた種なんですが、これ以上どじを踏むとまずいってぇんで、翌朝、早くから起きやして、昨日まで男が泊まってた部屋の掃除をしてやすと、

チッチッチッチ・・・

スズメが部屋から飛び立ちやした。

「あれ、スズメ? 鳥なんか閉めこんだ覚えはないんだがな・・・」

と思ってやすと、そのスズメ、外で餌をついばんでぱっと衝立の中におさまりやしたからもーびっくり。

「おい、お前、起きろ! 昨日男にスズメを描かせたんだ。そしたらそのスズメ、衝立から飛び出して餌をあさり、で、元に戻ったぞ」

慌てて奥さんを起こしますが、

「起きて寝ぼけると承知しないよ!」

取り合ってくれませんで。

しょうがないから翌朝、ご近所を集めて現場検証をしやすと、チチチと飛び立ったから大騒ぎ・・・。
たちまち噂が噂を呼び、このスズメが一目みたいってぇんで、行列のできる宿になり、「スズメのお宿」っていう別名までいただきやした。

「今日はここで泊まれますか?」
「あいにく満室なんですが・・・」
「相部屋でも構いませんで・・・」
「いや。申し訳ありませんが、相部屋もありませんで・・・」
「トイレでもいいですよ」

ついには、玄関に泊まり込む、犬みたいなお客さんがいまして。

そのうちにこの絵が大久保加賀藩主の目に止まり、1000両で売ってくれといわれますが、そこは正直な主人で、売っちゃいけねぇって言われたんで、事情を説明しやすと、

「残念だ、ではこの絵を描いた男に逢えたら是非お譲りいただけないかと申しつけて欲しい」
てなことに・・・。

この絵が評判になって半年余り立ったころ、身なりの立派なご老人が、
「スズメの絵、ちょっと見せなさい」
って言うんで見せましてな。ところが、

「このスズメは飛んでる姿だな・・・。これは描いた者の手落ちだ。ぬかりがある・・・。このスズメ、衝立から出たり戻ったりする力を持ってるが、休むところがない。このままでは疲れて、しまいには落ちて死ぬぞ」

この言葉にご主人、困ってしまいましてな。思案の末、
「どうしたらいいんでしょう?」
悩んでいるってぇっと、
「では、鳥籠を描いてやろう。明日の朝早く、この墨で磨りなさい・・・」

よく早朝、ご主人が約束どおり墨を磨ってやす。すると、覚えのあるいい薫りが・・・。

「この墨、いい薫りがしますね」
「うむ、お前さん、いい鼻してるな」
「ええ、鼻の評判はいいんですが、あいにく目の評判は悪くて・・・」

墨が磨り上がると、スズメが朝、抜け出る隙(すき)を狙って、

サササ!

ご老人が鳥籠を描きやす。

「これでスズメは助かったぞ」
「ははぁ、ありがとうございます・・・」
「この絵を描いたものに伝えておけ。まだまだ修行が足りんとな・・・」
「あの、あなた様は?」
「この絵を見ただけで、名前を言わなくても分かる・・・」

これがまた評判になり、絵の額も1000両から2000両にはねあがりやす。
ここの夫婦、もうがたがた震えが止まらなくなっちまいやしてな。

さらに数ヶ月が経ち、無銭飲食の男が、立派になってひょっこり戻って来やす。

宿の主人、身なりの立派さに驚きやして。どうしたのか尋ねやすと、絵で大成したというんで、これから親元に帰るらしい・・・。

「実は大久保加賀の守(かみ)様がこの絵を1000両で売るって言われて・・・」
「それはよかったな。で、ご主人。売ったか」
「いや、あなたがお売りにならないようにと言われたので、売ってません」
「わっはっは・・・。正直な男だな。では、そのスズメの絵、お前にやるぞ」
「この絵を下さる? ありがとうございます。すると、もう1000両、値が上がるんで・・・」
「え? どうして値が上がる?」
「・・・数ヶ月前だっかかな。この絵にはぬかりがあるって、手直しがありまして・・・」
「何? ぬかりがある?」
「そうなんです。この絵には手落ちがある・・・っておっしゃるご老人がいらしたんです。そのお方が言うには、衝立から出たり戻ったりする力のあるスズメ・・・。このまま飛び続けると疲れて落ちて死ぬと・・・」
「・・・うむ・・・わしの手落ちだ・・・。そのお方が直してくれたのか。・・・して、その絵は誰が・・・」
「それが、絵を見れば分かる・・・とおっしゃっただけで、名前を明かさなかったんで・・・」
「・・・そ、そうか・・・ひょっとすると、と思っておるんだが・・・その絵はどこにある? 見せてくれまいか?」
「ええ、こちらでございます。どうぞどうぞ・・・」

ガラッと部屋の戸を開けて、例の衝立(ついたて)の絵を見せます。

するってぇっと、この男、絵を見たとたん、その絵に向って土下座をする始末・・・。

「・・・やはりそうでしたか・・・。長いお暇(いとま)、お許しください。そして親不孝の段、重ね重ねお許しを・・・」
「この絵の前で、土下座なんかをして・・・。いったいどうしちゃったんですか?」
「いや、この絵をお手直しくださったのは、実はわしの父だ・・・」
「まあ、お父上でいらっしゃったんですか。親子そろって、名人なんですね・・・」
「わしは、狩野派の絵師だったんだが、若気の至り、心得違いをして親に勘当をされてな。で、このスズメの絵がもとで、勘当を許され親元に帰るところだった・・・」
「そうなんですか。それはよぅござんした。あなた、名人な上に親孝行ですね」
「いや、わしは決して親孝行じゃなかった・・・」

「いやいや、何をおっしゃいます。あなたは親孝行でございますよ」

「いや、親不孝だ・・・。わしはこのとおり、親を駕籠かきにした・・・」

「抜け雀」ってぇ一席でございやした・・・。

m<●>m!

テーマ : 落語
ジャンル : お笑い

お家寄席91・道具屋

さて、今日は「道具屋」の一席です。
与太郎さんで有名な代表作ですね。
・・・ではこちらは、平成18年5月14日の作品です。

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5月14日 与太郎話の代表作

えー、毎度ばかばかしいお笑いで一席、お付き合いをお願いします。

本日は与太郎の真骨頂(しんこっちょう)、「道具屋」ってぇ落語でご機嫌をお伺いしたいと思います。

「道具屋」・・・まあ、リサイクルショップですな。で、外でやるのでさしあたり「フリーマーケット」というところでしょうかな。とりあえずは「古物商」ではあるようですが。

「古物商」っていうと聞こえがいいかもしれやせんが、与太郎が扱う品物はそんな大それたもんじゃありませんでして、火事場やらゴミ捨て場から拾(ひら)って、それを売るんですから、どっちかってぇっと「汚物商」っていったほうがわかりやすいようで・・・。

実際、これを勝手にやっちゃ犯罪になりますよ。「ごみ」にも所有権ってぇもんがありやすからな。
家庭のごみは、決められた場所にうっちゃる(捨てる)ってぇっと、うっちゃった瞬間から市町村のもんになるそうです・・・。ちょうど本日は憲法記念日ですからな・・・。

で、そうそう、道具屋でしたな・・・。

えー、三十歳にしてニートを決め込んでる与太郎に、伯父(おじ)が説教をしておりやす。

「おい、与太郎。こないだな、お前の母親がわしにこぼしてたよ・・・」
「え? うちの親が? こぼした? ご飯でもこぼしたの?」
「そうじゃねぇよ! お前がまったく働かねぇからどうしたらいいかってぇんで、涙をぽろぽろこぼしてさ、こっちに泣きついて来たんだよ」
「へぇ? それじゃ、あたいも大したもんだ」
「与太郎、なぜ大したものなんだ!」
「年増(としま)を泣かせた」
「おいおい、あきれてものも言えねぇな」
「おじさん、ものを言ってるじゃん」
「・・・でも与太郎、そんな自分の母親を泣かせるようじゃだめだぜ。だいたい、これから結婚して女房子供ができたら、どうやって食べていくんだよ」
「箸(はし)と茶碗(ちゃわん)で、食べていく・・・」
「食べるのに箸と茶碗だと? そんなの、当たり前だ!」
「ライスカレーはさじで食う・・・」
「ああ言えばこういう・・・。屁理屈だけは一人前なんだからなぁ・・・」
「あたいは知らねぇよ。理屈は屁をこかねぇよ」
「・・・で、どうだ? 与太郎。おじさんの商売、やってみねぇか?」
「おじさんの商売? はて~。商売って、何だろうなぁ? 
・・・ああ、わかった! おじさんの商売って、はなに『ど』の字がつくだろ!」
「ああ、『ど』の字がつくなぁ・・・」
「大きな荷物を背負(しょ)ってるだろ!」
「ああ、背負ってるなぁ・・・」
「頭にほっかむりをするだろ!」
「ああ、暑さよけにするなぁ・・・」
「やっぱりな~。・・・この、泥棒!」
「縁起でもない! おじさん、道具屋だ」
「でも、どの字がつかぁ」
「ついても大違いだよ!`±´」

こんなやり取りの挙句、道具屋の商売を伯父から譲り受けやしてな。ひととおり道具を説明しやす。

で、いよいよ実地、蔵前に店を出しやして。
おせっかいの吉兵衛さんってぇ男にそのノウハウを教えてもらいやして。

ところが、与太郎は失態の連続でしてな。

たとえばですな。
・・・失態しょのイチ~。^±^ノ

のこぎりを買いに来た客に、
「おい、そこのノコ見せろ」
って言われやしても、当の与太郎、きょろきょろ見当違いのところを見渡すばかり・・・。

「おい、ぐずぐずしねぇで、早くノコ見せろってぇんだよ!」
「はぁ(゚Д゚)? ノコ?・・・ノコにある?」
「お前さんの目の前にあるだろ!」
「ああ、これはのこぎりっていうんだぞ」
「いいんだよ。略してノコで・・・」
「いいわけないや・・・。人間、義理(ギリ)を欠いちゃいけねぇぞ」
「おい、いいからそいつをよこせ。・・・ん? これ焼きが甘ぇ(あめぇ)ようだな・・・」
「そんなことありませんよ。おじさん、火事場で拾ったんだから!」

・・・失態しょのニィ~。^±^ノ

短刀を見せてくれと頼まれ、客が一生懸命刀を引っ張ってるってぇっと、

「う・・・この刀、中が見たいけど・・・いくら引っ張っても抜けねぇなぁ・・・」
「そんならあたいが引っ張るの、手伝おうか?」
「じゃ、頼むよ。向こうに引っ張ってくれ・・・ウ~~~ム」
「ウ~~~~ム!」
「おいおい、この短刀、ちっとも抜けねぇなぁ」
「抜けないはずだよ・・・。だって、木刀だもん」
「木刀だって? じゃ、抜けるはずねぇじゃねぇか! いったい何が抜けるんだ!」
「おじさんがごみで拾った、おひな様の人形の首なら抜けるよ~」

・・・失態しょのサン~。^±^ノ

で、横であきれ果てて見ていたおせっかいの吉兵衛に、
「ほら、お前はまた小便(しょんべん)されて・・・」
と言われるってぇっと、

「え? 小便(しょんべん)って・・・何?」
「何も買わずに帰っちまうのを小便って言うんだ! そんなこっちゃ一人前になれねぇぞ」

与太郎が注意されてる最中、客がまたやって来やす。
「そこにあるタコ見せい!」
「タコ?・・・タコって・・・タコにある?」
「そのつまらねェ駄洒落(だじゃれ)は今しがたノコでやったばかりじゃねぇか・・・。まあいいや。そこのタコ・・・タコって股引(ももひき)のことだよ!」
「でも、これ・・・小便できないよ」
「小便のできねぇ股引じゃいらねぇよ」

しばらくしてはたと気づいた与太郎・・・。
「あ・・・あの~、それ・・・小便できるの。小便はできるけど、小便ができないの・・・帰っちゃダメ~!」

・・・失態しょのヨン~!^±^ノ

鉄砲を見たい上方(かみがた)のお客さんに、言葉のいっさいが通じず。

「この鉄砲、なんぼだ?」
「んんん・・・乱暴・・・か?」
「いや、なんぼかって、聞いとんの!」
「ん?・・・とんぼ・・・か?」
「わからんやっちゃなぁ・・・。この鉄砲の代(だい)は?」
「台は・・・樫!」
「ちゃうちゃう、鉄砲の金(かね)のことや」
「鉄で出来てる」
「そうやない。鉄砲の値(ね)は?」
「鉄砲の音(ね)?・・・ズドーン!」
「そうやないっちゅうの・・・なんちゅうたらわかるんや・・・おぬしはとうしろう(素人=しろうと)やな?」
「いいえ~、あたい、与太郎さん・・・^±^」

・・・そんなこんなで、数々の失態の果てに、こんな事件まで起きやして・・・。

与太郎のところに、笛が見たいってぇひやかしの客がやって来やしてな。

「おい、そこにある笛を見せてみろ」
「この笛ですか」
「そ、そ、そうそう・・・」

で、この男が笛の穴にうっかり手を入れたら抜けられなくなりやして・・・。

「おっと、・・・ゆ・・・指が抜けん」
「指が抜けんって、そんなら笛を買ってください」
「あっしは、冷やかしだよ」
「じゃ、笛を置いてって~」
「・・・高い買い物をしたな・・・しょうがない・・・この笛、いくらだ?」

するってぇっと、与太郎、ここは抜け目ありませんですな。

「それは時価って書いてあるぞ。元からの値が1円だから・・・5円だ!」

「何? 高い高い・・・高いぞ! この野郎。ぼりやがって。足元を見たな?」

「いや。手元を見ました・・・」

m<●>m!→m<(゚Д゚)>m!ハッ

・・・いいんですかい? こんな情けねぇ、中途半端なオチで高座を降りちまって・・・。
いいはずねぇでげすな・・・。^±^
それにこれじゃ、事件でもなんでもありやしませんですな・・・。

・・・では、続きを。^±^ノ

「とにかく高いよ! 高すぎる・・・法外だよ」
「じゃ、その笛、置いてって・・・」
「置いてって・・・って抜けねぇんだよ」
「じゃあ買って・・・」
「買ってって・・・高いよ・・・」
「じゃ置いてって・・・」

そんなやりとりで、とうとうこの客は観念しやす。

「わ、わかった・・・。買うよ。買う買う・・・」

与太郎が客の家までついていきやすと、

「わしのうちはここじゃから、ちょっと外で待っとくれよ。今この笛を抜いたら銭を出して買ってやるから・・・」

男は家の中に入って、必死に抜こうとしてやしてな。その姿に与太郎、商売になるかどうか、気が気じゃありませんで、いてもたってもいられず、とうとう家の窓に手をかけて指の抜き方を教えだしやす。

「そ・・・そうやって抜くんじゃないの・・・。そ・・・そうそう。そうやって・・・ああ・・・違う違う!」

ところが格子(こうし)の窓から首を突っ込んで夢中で説明するうちに、今度は与太郎の首が抜けなくなりやして・・・。
いくらもがいても無駄な足掻き(あがき)でして・・・。

「ねえ、おじさん・・・この窓いくら?」

と、ここまでが普通の落語のサゲですな。
落語だったら、これでオシャマイ。^±^
だけど、あとは蛇足だと揶揄(やゆ)されようと、あっし、粗忽亭はまだオリジナルのサゲでやりやすよ。

・・・で、与太郎が、少しでも抜け穴を大きくしようと、まわりの木枠に噛み付きながら、泣きべそかいてるってぇっと、

「それは自家(時価)の窓じゃ。元からそれがないと外が3円(見えん)し、枠をかじっても9円(食えん)、しめて12円ってところでどうじゃ・・・?」

与太郎、そんなわけでしてな、7円も余計に取られ、えらい高い散在(さんざい)になってしまいやしたが、後の祭りでしてな。

「ああ、それならもっと足元を見て、あたいは15円で売るんだった・・・」

えー、ばかばかしい・・・「道具屋」の一席でした・・・。

m<●>m!

テーマ : 落語
ジャンル : お笑い

お家寄席90・百川

「高橋さんの写真館」名物になりました「お家寄席」・・・。

さて、今日は「百川」の一席です。
この出来事は、本当にあったそうです。もちろん百川も実際にあったそうで。
・・・ではこちらは、平成18年5月4日の作品です。

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5月4日 「百川(ももかわ)」・・・でござい。

えー、今日は「百川(ももかわ)」ってぇお笑いでございやして。
こちらは本当にあった懐石料理のお店だそうでして、江戸の時代から、明治の初めまで実際にあったそうですな。
で、この噺はってぇっと。ぶっちゃけ、その店のコマーシャルのために作った落語だったんですって・・・。
^±^ノ凸ヘェ

いや、本当なんですよ。そこでこんなことが本当にあったらしいです。
まあ、花粉症にかからねぇ人っていいますか・・・。
つまり、ノンフィクション!

その前に、まずは小噺ですが・・・。

「おいおい、ラーメン屋のおやじさん! そのスープ、もっと熱くしてくれ!」
「いえ、そんなぬるくないですよ」
「いやいやぬるいよ!」
「そんなことはない・・・。このスープは熱いですよ」
ってラーメン屋の主人が頑固に言い張ったら、客が、
「じゃあ、その指がスープに入らないくらい熱いやつを持って来てくれ・・・」

アチャ~x±x
ひどい話もあったものでして・・・。

もうひとつ小噺。

「おい、このラーメンひどいね。ゴキブリが入ってるよ。これじゃ、汚くって食えないよ」
って客が言ったら、ラーメン屋の親父・・・。
「そうかい! じゃ、気にならねぇように、そのゴキブリを沈めておきやしょう!」

・・・困った店があったもんですな。^±^

まあ、こんな風でないにしろ、困った店ってぇのは昔っからあったようでして。
たとえば、奉公人の方言がわからねぇ店、それもそこが懐石料亭っていいますと、客のほうがためらっちまう・・・。

さて、日本橋葭町(よしちょう)、今でいう日本橋人形町に、千束屋(ちづかや)ってぇ桂庵(けいあん)がありやして。桂庵ってぇのは・・・つまりハローワークのことですな。ここに、百兵衛(ひゃくべえ)ってぇ男が、
「わしゃーどっか、いい口があったら奉公に入りてぇだ・・・」
と相談に来やしてな。
それで、日本橋の浮世小路(うきよこうじ)・・・っていいますと、今でいう日本橋室町三丁目ですかな、ここにあります「百川(ももかわ)」に入ることになったんです・・・。

いよいよお目見えの日、百兵衛(ひゃくべえ)、羽織を着て店を訪ねたんですがな。もしこの百兵衛が羽織を着てなかったらこんな事件は起きなかったんですが・・・。

「ごめんくだせぇやし・・・ごめんくだせぇやし・・・」
「お、百兵衛さんかい?・・・百川に百兵衛だなんて、縁起がいい・・・。今日はゆっくり休んで、まわりに慣れてくれ・・・」

ところが百兵衛が店を訪ねたとき、運の悪いことに女中が皆、身を整えるために髪を下ろしちまったんです。さらに運の悪いことに、ちょうど二階からお手が鳴っちまったんですな。
誰か行かなくちゃならねぇ、生憎(あいにく)誰も出られねぇ・・・そうだ羽織を着てるし百兵衛さん行ってくれ、注文を聞くだけだから簡単だよ・・・ってぇんで、百兵衛にお鉢が回って来ちまったわけでして。

「百兵衛さん、悪いけど行っておくれ。河岸の連中は荒っぽいからくれぐれも失礼のない様に気をつけておくれよ」

これが百兵衛の初仕事だったわけですなんですが、
「う~~ぴ」
と座敷に上がりやすと、お互い初顔・・・。

ここで百兵衛、どうでもいいのに自己紹介をしちまったのが、そもそも勘違いの発端でして。

「へぇ・・・わしは今日からここへぇ入った、主人家(しゅじんけ)の雇人(かけぇにん)で、ひゃくびぇと申すもんでがす、ぴぃ」
「え? あなた様。四神剣(しじんけん)の掛け合い人なんですか?」
「・・・へぇ、さいでがす」

魚河岸の連中、急に丁寧になりやして。
それもそのはずで、百兵衛は主人の家の雇い人と言っただけなのに、あまりにもひどい訛(まなり)で、四神剣の掛け合い人と聞き間違えたんですな。
四神剣とは祭礼で神に供える剣で、これを銭がないからといって、河岸の連中が、質に入れちまったのが運の尽きだったようですな。

「・・・あの、どうかどうか穏便(おんびん)に願いたいものでして。あっしたちは決してあなた様のお顔をつぶすことはいたしませんから・・・」
「まあ・・・そりゃぁ、わしのつまらねぇこんな顔でも・・・つぶさんでいただきてぇもんでがすな、へぇ・・・」
「ま、ま、どうかここは、収めていただきたいんで・・・。まあ、どうぞ。お座布団をおあてになってください。お酒でもお召し上がりますか?」
「わしは酒は飲めんでがすよ・・・」
「さいですか。じゃ、これはいかがですか?」
慈姑(くわい)の金団(きんとん)を百兵衛に薦めやす。
慈姑とは、オモダカの仲間でして、サトイモに似た形の野菜ですな。あっしも実は食べたことはないんですが・・・。よく煮物にして食すそうですよ。

「これは、あんでがすか?」
「・・・はぁ、・・・餡(あん)でがす・・・」
「そうじゃねぇだよ。これはあんっちゅう食べ物でござんすか?」
「・・・ああ、ああ・・・。これは慈姑の金団です」
「ほぅ、これがくえぇだか・・・野郎・・・うまく化けやがったな!」
「・・・あの、化けたなどとそんな物騒なことをおっしゃらずにどうか、あっしたちの顔を立てて、この具合をぐっと(顔を)つぶさずに呑み込んでいただきたいんですが・・・」
「おらが? このくえぇを呑み込むだか? こんないけぇ(でかい)もん、呑み込めるかなぁ・・・」 
「どうか、そうおっしゃらずに、この具合を、ぐぐっと、無理にでも呑み込んでいただきたいんでございますが・・・」
「そうけぇ・・・。呑み込めねぇこともねぇから呑み込むだ・・・ググッ」

目を白黒させて、百兵衛、慈姑の金団を無理矢理、呑み込みやす。

「ありがとうございます。呑み込みやしたら、どうぞ、お引取りください」
「そりでは・・・失礼しやす・・・」

やっとのことで戻った百兵衛、可哀想に、
「ああ、この家(うち)はなげぇこと奉公ぶてねぇなぁ・・・」
涙ぐんでやす。

魚河岸の連中は連中で、顔が青ざめておりやして。
「・・・何だろうなぁ。去年の祭りの後、どうしても銭が足りなくなったんで、質に入れちまったのがばれてたなんて・・・。まさかここに四神剣の掛け合い人が上がってくるとは・・・。でも、どうしてあんなに間抜けなのが入って来たんだろうな・・・」
「おぅ、あれは役者なんだ! 証拠に見ろ! こっちがあなたの顔をつぶさねぇからってお願いしますって懇願(こんがん)したら、奴はなんて言った?・・・こんな汚(きた)ねぇ顔でもつぶさないでいただきてぇ、って言ったじゃねぇか! それに、どうぞ具合を呑み込めと言ったら、洒落(しゃれ)で慈姑(くわい)の金団(きんとん)をわざと呑み込んだじゃねぇか! あれは、すべて心得た! あっしに任せろ!・・・って意味なんだよ! たいした奴じゃねぇか!」
「それにしても、この店が黙って座敷に上げさせるから・・・おい、それもこれも、ここの店がいけねぇんだ! 文句言ってやろうじゃねぇか!」

またぞろ、二階からパンパンとお手が鳴ります。しょうがねぇんで、百兵衛、再び座敷に上がりやす。

「・・・びぃ~」
「・・・あ、あの・・・何かお忘れ物でも?」
「・・・いえ。忘れ物も何も・・・へぇ。わしゃ、ここのごしじん様の雇(かけ)え人(雇い人)ですんで、呼(よ)ばりたんでぇ、ぶっ飛んでめぇりやした・・・」
「何だ! てめぇは四神剣(しじんけん)の掛け合い人じゃなくって、ここの主人の家の雇い人か!・・・紛らわしいこと言いやがって! まあいいや。今度はしっかりしろよ! 使いを頼む。長谷川町(はせがわちょう)の三光新道(さんこうしんみち)に歌女文字(かめもじ)ってぇ常磐津(ときわづ)のお師匠さんがいるんだ。すぐに呼んで来い!」
「・・・びぃ~」

何がなんだかわけのわからねぇまんま、百兵衛、三光新道に向かいます。長谷川町っていいますと、今でいう日本橋堀留町あたりですかな。

「あのぅ~、ちょっくらお聞きしてぇんですが、この辺、はしがわちょぉのさんこじんみちですっけ? この辺に・・・か・・・、か・・・なにかぁ、かのつく人、いらっしゃいませんかぁねぇ~?」
「ええ、確かに長谷川町の三光新道(さんこうしんみち)はこの辺じゃが? 誰をお訪ねかね? かのつく人?・・・ああ、鴨池(かもじ)先生のことか?」
「さいでげすさいでげす・・・。そのかもじぃ~とかいう名前だったです」
「鴨池玄林(かもじげんりん)先生か・・・。外科の先生だ。それはこの道をちっと入って行ったところにあるよ」

百兵衛、そこはすぐに見つけやして。

「ごめんくだせぇやし。あのぅ・・・わし・・・、百川からつけぇ(遣い)でやって来た、百兵衛ってぇもんでげす。実は・・・魚河岸のわけぇお方が、今朝(けさ)がけに四、五人来(き)られやしてぇ、ちょっくらせんせにおいでいただきてぇっとおっしゃるんで・・・びぃ」

ところがあまり訛(なまり)がひどいんで、ここで勘違いが生じやした。

「何? 魚河岸の若いのが袈裟(けさ)がけに四、五人斬られただと?・・・喧嘩でけが人が出たのか? そりゃ大変だ! 魚河岸の連中は気が荒いからな。わしがすぐに駆けつけるから、この薬籠(やくろう)を先に持ってってくれ。それから、帰ったら伝えてくれ。
『焼酎を一升と白布五反、それと鶏卵(けいらん)、ニワトリの卵だ・・・これを二十個ばかり用意しておいてくれ、手遅れになるといけねぇから・・・』
と。河岸の衆にそう伝えておいてくれ」

百兵衛、早速薬籠(やくろう)を持って百川に戻りやす。

「びぇ~ぇ。行ってめえりやした」
「おぅ! ご苦労! お、何だその入れ物は?」
「これでごぜぇやすか? せんせがおっしゃるにゃぁ、こりを先に持ってけってんで・・・ひぃ」
「おいおい。先生じゃねぇだろ。師匠ってぇんだ。それで、何だって?・・・これを先に? ここに三味線(しゃみせん)が入(へ)ぇってるんかな? それにしちゃぁ入れ物がちいせぇが。そうか。折りたたみ式の三味線か・・・。歌女文字(かめもじ)のお師匠も、なかなか粋なもんを持ちやがるぜ」
「あとぉ、焼酎を一升と、白布五反、それと鶏卵(けいらん)、ヌワトリの卵を二十個ばかり用意すろっとぉ、伝(つた)いといてくれってぇ、おっしゃてぇやしたぁ・・・びぃ」
「焼酎を一升? ああ、いい唄を聞かせる景気づけってぇことか・・・。で、白布五反って、それを腹に巻いて気合を入れて、卵を飲んで声につやを出そうってことなんだな・・・」
「へぇ~ぇ、それからぁ、手遅れになるといけねぇからって申してやしたんで・・・」
「手遅れ? 拍手のことかぃ?・・・よくわからねぇな。何か変だな・・・。常磐津(ときわづ)の手遅れって・・・聞いたことねぇし・・・」

そこに鴨池(かもじ)先生、青ざめた顔で部屋に入って来たからたまらねぇ。
「おい、袈裟(けさ)がけに四、五人斬られたって、けが人はどこだ!」

魚河岸の連中、びっくりしたのなんのって・・・。きょとん・・・ですな。そりゃそうですよね。常盤津の歌女文字(かめもじ)を呼びに行ったのかと思いきや、外科の鴨池(かもじ)先生が来たのだから至極(しごく)当然でして。

当然、河岸の衆、百兵衛を怒鳴りつけやす。

「おいおい、なんで常磐津の歌女文字(かめもじ)呼ばずに、外科の鴨池(かもじ)先生を呼びに行ったんだよ! この抜け作が!」
「おら、抜け作でねぇ。百兵衛だ」
「名前を聞いてるじゃねぇ! 抜けてるから抜け作だってぇんだよ」
「はぁ・・・(゚Д゚)? 抜けてるって、どのくらい抜けてるだぁ?」
「どのくらいって、はなっからみんな抜けてらぁ!」

「そうかね? か・め・も・じ。か・も・じ・・・。たんとでねぇでねぇか・・・。たったの一文字抜けてるだけだ」

アンジャッシュさんのネタのような・・・、実際にあった噺でございやした。

お後がよろしいようで・・・。

m<●>m!

テーマ : 落語
ジャンル : お笑い

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